世界から猫が消えたなら
遅ればせながら観ました。
一時期、書店に行くとやたらと目にした
こちらの本が気にはなったのですが、僕は犬派なのでどうにもネコだけ取り上げるなんてずるいゾという気持ちが湧きあがり、そのままにしていたのです。
ただ川村元気さんには興味があって、
といったプロデュース作品はいずれも好きなものが多いので、自身初の小説の映画はやっぱり観るべきではないかという自らへの怒り(?)から観ることにしました。
川村さんは以前、テレビ番組で、
道端でいつも目にしている誰かの落し物を拾い上げて、これは誰の物ですか?と声に出すのが自分の仕事だと思う、というようなことを語っていました。
ありていに言えば、忘れてしまった何かを思い出させてくれるという視点が作品の根底にあるように思います。
とくにこの「世界から猫が消えたなら」は、主人公にとって大切な物を猫という生き物で表現しているのですが、
もしも自分の大切な物がこの世から消えてしまったら、と考えると、自分にとっての世界構成について考えることになり、「それ、自分のです!」と周りが振り返るのも構わず叫んでしまうような気持ちになれば、結構泣ける作品です。
作品自体は、サビだけを繰り返すような感じで、ピアノの旋律に従って、何となく眠気に誘われながら、ゆったりと観るといいかと。
自分の命と引き換えに、電話や映画という存在が消え、それにまつわる周りの記憶や思い出が消える。そして、自分だけがそのことを知っている。
これを理屈っぽく観れば、面白くはない。でも、ファンタジーとして観れば、世界に浸れる。
まるで映画のように断片的に繰り返されるシーン。時系列はバラバラで、この映画自体が、映画というものの存在の一面を象徴しているような作品でした。
結局、映画って画面の向こう側に行けるかどうかで、自分の中の価値が決まるので、その時の自分の状況や感情によりますよね。
そういう意味では、僕にとってはなかなか良かったです。
世界から文字が消えたなら。
考えたくないですw