翻訳日記
時々、読み返したくなるシリーズ。
今回紹介するのは、
SF小説の翻訳話って、あまり見たことがないです。
とくにこの本は古いので、当時苦心して最新のパソコンを駆使してデジタル書斎術とでもいうべき技を見せてくれるのでなかなか興味深い。
今ならスマホで簡単に俗語も調べられますし、電子辞書で手軽に複数検索もできる。
読んでいると、普通の翻訳と違ってSFならではの造語やニュアンスとしてどう訳すとその時代に合うかという雑談が面白い。
たとえば、先ほどのスマホも小型通信端末という堅い訳ではいまいちダサい。
でも、スマホが無い時代に訳すのはなかなか難しいわけです。
特にSFは今無いものを概念として存在させる、現実が想像の先を行き、場合によってはその思考が現実化されたりすることが多いジャンルなので、相当苦労されていると思います。
一度国内で翻訳出版されると権利関係の問題で、再訳されるにはだいぶ時間がかかるため、古い訳のままのSF作品も多く、今読むと作品の斬新さより時代錯誤な表現が気になって面白みに欠ける残念な作品もあります。
翻訳に興味がある方なら参考になる点も多いですし、言葉に興味のある人や単なるエッセイとしても楽しめますよ。