東大式?
僕は読書術とか習慣術とかノート術とか記憶術という類のタイトルの本はとりあえず気になってしまいます。
そこで、
このいかにもなタイトルの本を読んでみました。
正直言って、そこまで斬新さは感じなかったです。
DaiGoさんのまとめトークの方が何倍も濃い。
でも、これは外せないという事が書いてあるので、初めてこういう本に触れる人にはオススメできます。
特に現代文を受験勉強として頑張った経験の無い人にはオススメ。
そもそも東大の入試に限らず、受験生で問題文を先に読まずにいきなり英語や日本語の長文を読むような人は、そんなに身を入れて勉強した事が無い人だと思います。
それをこの本ではスゴイ方法のように書かれていますが、まぁそれは東大というブランド力と現役東大生だからこそ商売になるという意味で理解はできます。
言いたい事は、漫然と目的も無く文章を読んでも頭に残らないという事だし、タイトルや章、帯などからできるだけ情報を集め、予測した方がより深く内容を理解できるというのは正しいと思います。
そして、この本は能動的な読書をするにはどうすればいいかが上手くまとめられています。
しかも大事な所はラインが引かれ、最後には全部のエッセンスがまとめられているので、復習にはもってこい。
個人的な意見としては、ラインは自分で引いて、その部分を人に説明できるくらいに簡潔にノートにまとめるか話すのが最良だと思いますが、それも書いてあります。
また論理展開のパターンにも触れられていますが、
僕にとっては何より衝撃的な出会いだったこちら
出口先生の方がオススメです。
特にA→A'という説明は、目からうろこでした。
これは「朝の時間は勉強に取り組むには最高の時間帯」というのが作者の言いたい事だとすれば、
作者は読者にそれがどのように最高なのかを繰り返し、いろんな具体例を用いて説得するという論理パターン。
「例えば、朝は脳の働きがいい」「例えば、寝る前に覚えた事を復習すると忘れにくい」「例えば、朝は誰にも邪魔されない」などなど
でも文章が読めない人は、どこが大事な所かが分からず、全体をぼんやりと読んでしまう。どれもが大事に見えて線を引きまくり、どの箇所も目立たなくなってしまう。
そこで、作者の主張をAとし、それを肉付けする箇所をA'と簡略化し、
今読んでる部分はAのたとえ話だなと常にAを念頭に置いて読み、もしぼやけてきたら、それはどういう事だろう?ああ、反対意見かじゃあそれはBとしよう
というように広大な海にブイ(A)を立てて深く潜って(A')、またそのブイ(A)まで浮かび上がるダイビングのような訓練を出口先生の講義でたくさんしました。
たったそれだけの事を知っただけで、英語長文も現代文も一気に得点源に変わってしまったのは、僕にとっては本当に衝撃的でした。
でも、できる人はAとかBとかはともかく自然にしている事なのです。
そういう意味では目新しさは無く普遍的な読書術でした。
大抵の実用本は、このA→A'→Aのパターンを意識すれば読めます。
月に300冊以上の本を読むという佐藤優さんも、入試現代文は読解力の養成に有効だとして出口先生を挙げられています。
読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門
- 作者: 佐藤優
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現代文の勉強は自分にしっくりくる解説のものを選べばいいと思いますが、読解力は全教科の理解の土台となるものですし、文章の論理構造を意識するには最適だと思います。
また論理的に話すという事は、誰にでも分かりやすく説明できるという事なので生活する上でも大事なので身につけて損はありません。
さらに佐藤さんとあの池上彰さんの
僕らが毎日やっている最強の読み方;新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける70の極意
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は、二人の読書術が非常に興味深い。
佐藤さんはあらゆるデジタルグッズを駆使して、電子新聞をエバーノートにスクラップ保存し、移動時間にiPadでドラマや映画まで見るというのに対し、池上さんはまずテレビは見るものではなく、出るものとし、デジタルの良さは認めつつも、超アナログ派と対照的。
池上さんも受験時代Z会の現代文で読解力について相当訓練したようですし、何より記者時代に徹底的に磨かれたスキルがあの誰でも分かりやすいトークに活かされているのだと思います。
お二人の良く活用しているサイトや読んでいる新聞・雑誌の一覧までついていて、全部をマネするのは無理にしても、信頼のおける情報源とは何かがつかめます。
何より、この二人の対談本としても純粋に面白いです。巻頭の本棚や書斎(研究室)だけでも本好きにはひきこまれます。
話を戻して、目新しさという意味では、同じ著者の
の方がゲーム感覚でいろんな習慣を身につけるという語り口で面白かったです。
ガチガチの参考書は抵抗があるという人は、こちらのビジネスマン向けの本がオススメです。
東大とか京大というのが一番とかではなくて、やっぱりレベルの高い大学は問題になる文章自体が面白いという意味で読み物として読んでも得るものがあると思います。
入試問題は大学がどんな学生を求めているかという広告の役割もあるので、5000円くらいしますが、毎年出版されている
を問題を解かなくても読書ガイド代わりに読むのも楽しいです。
問題を解くのはもちろんいいと思いますが、時間も取られます。でも、たとえば空所も解答を見て埋めちゃえばいいし、分からない箇所は大抵傍線箇所で問題になっているので解説もされています。
興味のある文章だったら、出典元を見て本屋へGO!
大学の名前を背負っている大学教授が厳選した読書ガイドとしてはこれ以上にない情報源。国公立編もあります。
読解力がどれくらいできたかの基準は佐藤さんによるとセンター試験の現代文で8割取れていれば合格。
センター試験は解答が全国紙に公開されるので、誰に批判されても大丈夫なように明確な答えが作られているので力試しには向いているし、いろんなレベルの人が受けるので現代文に限らず、とてもオーソドックスな問題が出るので、一定の勉強をした人には良問だという事だと思います。
なぜ大学は解答や点数基準を公表しないのかは、僕なりに考えますと、もしミスがあった場合、大学の信用が無くなってしまうからだと思います。
実際、点数を水増ししたという事でブランドが失墜するというのも目の当たりにしますよね。もちろん公正で厳格な採点をされていると信じたいですが。
僕も受験生の時に、現代文の文章自体にひきこまれた事が何度かありました。自分だけの読書って、興味が限定されていってしまうので、自分の中をかきまぜてくれる体験をどうするかというのが悩みでもあります。
大型書店に行った時もなるべく興味のない書棚を通り、背表紙を眺めるだけでもいろんな刺激を受けて楽しいものです。