はずれスライムのつぶやき

どうでもいいことについて適当に考察していきます

突然言葉が奪われたら・・・

 

奇跡の脳―脳科学者の脳が壊れたとき (新潮文庫)

奇跡の脳―脳科学者の脳が壊れたとき (新潮文庫)

 

 

著者は女性神経解剖学者。37歳の時、脳卒中に襲われる。

 

この本が面白いのは、ただの闘病記ではない点。

 

学者ならではの自己分析で、内側から自分の脳の状態を語る。

 

なぜ語れるかと言えば、それこそ奇跡だが手術により回復したからだ。

 

不謹慎かもしれないが、これが非常に興味深くてページをめくるのさえもどかしかった。

 

言語を操る左脳が閉ざされ、脳内では助けを呼ぼうといろんな手段を試みるが、いざ電話がつながっても思った事がうめき声にしかならない。

 

そんな自分の最悪な状況をも冷静に分析するもう一人の自分。

 

もしかしたら、二度と今の感覚を語る事はできず、深い闇に落ちるかもしれない不安な心境が手に取るように分かる文章。

 

必然的に思考を支配する右脳マインド。感覚やイメージで外界とのつながりを持ち始め、脳内の配線がつなぎ直され、まるで別人のようになる自分。

 

暗い闘病記ではなく、生きる勇気さえもらえそうな不思議な本でした。

 

脳はまだまだ未知の分野なのですね。

 

脳のなかの幽霊 (角川文庫)

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海馬―脳は疲れない (新潮文庫)

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